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十三章 「涙!?」

Penulis: 桃口 優
last update Terakhir Diperbarui: 2025-06-13 02:57:54

「えっ、どうして??」

 僕は、とうとう自分の感情にも追いつけなくなったようだ。

 そんなことって、あるだろうか。

 自分の感情なのにわからないってどういう状態? とパニックになった。

 これは他に人にもよくあることなんだろうか? それとも珍しいことなんだろうか? そんな二つの考えがぐるぐる頭の中を巡るけど、答えはわからないままだ。

 何が起きたかというと、僕の頬を静かに水が|伝《つた》い、しばらくしてそれが『涙』だとわかったのだ。

 でも、僕は決して意図して涙を流したわけではない。

 むしろ、流すつもりは一切なかった。

 僕の思いとは、逆の行動を体がした。

 僕は、そんな風に見えないとたまに言われるけど、人前で涙を流すタイプの人ではない。

 男がすぐに泣くのは、かっこ悪いとさえ思っている。

 僕は女性だからこうあるべきだとは思わないけど、男性は強くなくてはいけないと感じている。

 それは、子どもの頃の親に何度も言われてたからだ。

 父親に「男なのに、泣くな!」と何度も叱られた。母親は僕を全くかばってくれなかった。

 大人になって親の教育が偏っていて間違っているとわかっても、体に染みついたものは簡単には消えなかった。

 何年もの間、傷つけられ続けたのだから。誰にも話したことないけど、それは僕のトラウマとなっていた。

 でも、だからというべきかわからないけど、僕は『言葉』を人を傷つけるためには使わないでおこうと強く思えた。

 これをきっと反面教師と呼ぶのだろう。

 彼女の母親だけでなく、僕の両親も少し歪んだ考え方を持っていたなんて、何の偶然だろうか。僕たち二人は似た環境にいたのだろうか?

 子どもの頃から辛い時でも「泣いちゃダメだ」と我慢しているうちに、涙はいつのまにか出したくても出なくなっていた。

 感動する映画を観ても、涙が流れることはなかった。もちろん、いい映画だったなあと心から思う時はある。それでも、涙は一向に出てこなかった。

 人間の適応能力って本当にすごいと思う。

 まるで、涙が枯れてしまったかのような状態だった。

 そんな風に今まで生きてきたのに、どうして今涙が出てきてしまったのだろう。

 僕はおかしくなってしまったのだろうか。

 さっきの話の内容的にも、どう考えても僕が涙を流す場面ではない。苦しいのは、確実に彼女の方だ。

 僕が泣いたら困られせるし
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